AIは判断の前に、机の上を片づけてくれる道具かもしれない
AIは、判断そのものをする道具ではない
最近、「普通の人にAIをどう説明するか」をよく考えています。
AIという言葉を聞くと、どうしても難しいものに見えます。最新技術、生成AI、プロンプト、エージェント。言葉だけで少し身構えてしまう人も多いと思います。
でも、仕事の現場で本当に役に立つAIは、もっと地味なところにあります。私は最近、AIを「判断する道具」ではなく、「判断する前に机の上を片づけてくれる道具」と説明するのが、いちばん近いのではないかと思っています。
人が疲れるのは、判断だけではない
たとえば経費処理を考えてみます。
領収書を見て、勘定科目を考える。添付するファイルを探す。入力する。確認する。これを一件ずつ繰り返していると、作業そのものよりも、頭の切り替えで疲れてきます。
メール処理も同じです。これは返信が必要か。誰に回すべきか。急ぎか、あとでよいか。ひとつひとつは小さな判断でも、何十件も続くと頭の中が散らかってきます。
ここでAIに全部を任せる必要はありません。むしろ、最後の判断は人間が持っていた方がいい。大事なのは、その前段階です。
- 似た内容のメールをまとめる
- 過去の対応例を横に並べる
- 急ぎそうなものを先に出す
- 判断に必要な情報だけを抜き出す
ここまで整っていれば、人間は「考えるべきところ」に力を使えます。
AI導入ではなく、仕事の分け方を考える
元エンジニアとして見ると、これは新しい話というより、昔からある「作業を分ける」発想に近いです。
同じ種類の処理はまとめる。判断と単純作業を混ぜない。途中で何度も頭を切り替えない。システムでも、人間の仕事でも、この考え方はかなり効きます。
AIを入れるかどうかの前に、まず仕事を眺めてみる。
この作業の中で、人間が本当に判断している部分はどこか。逆に、探す、並べる、要約する、分類するだけの部分はどこか。
そこが見えると、AIの使いどころも自然に見えてきます。
読者に伝えたい一言
AIは、人間の判断を奪うものではありません。
少なくとも、私が会社や個人の仕事で伝えたいAIは、そういうものではありません。
むしろ、人間が判断する前に、机の上を少し片づけてくれる存在です。書類を揃え、候補を並べ、過去の記録を引っ張り出してくれる。最後に「これでいこう」と決めるのは、人間です。
仕事で疲れている人に必要なのは、「もっと頑張りましょう」という話ではないのかもしれません。
人間にがんばらせすぎない仕事の形を作ること。
そのためにAIや自動化を使う。そんなセミナーや相談の場を、少しずつ形にしていきたいと思っています。

