高齢化した地域ほど、所得は低いのか|AIと公共データの実験室 #12

「高齢者が増えると、地域の所得は下がるのだろうか」。そんな疑問から、埼玉県63市町村の高齢化率と所得データを重ねました。

高齢化率と1人当たり市町村民所得の相関は-0.777。かなり強い逆方向の関係が見えました。

ただし、今回の「所得」は個人の給料や年金の平均ではありません。

今回の「所得」は、給料の平均ではない

使ったのは、埼玉県が公表する2023年度の「1人当たり市町村民所得」です。

地域の雇用者報酬、財産所得、企業所得などを合計し、人口で割った推計値です。個人の給料、年金、手取り、世帯収入の平均ではありません。

高齢化率が高いほど、地域の所得は低かったのか

今回の答えは、かなり強い逆方向の関係が見えた、です。

高齢化率と1人当たり市町村民所得の散布図

高齢化率17.9%の和光市は424.5万円、高齢化率46.6%の東秩父村は202.2万円でした。同じ2020年同士で比べても相関は-0.823で、傾向は大きく変わりません。

所得が高い地域、低い地域はどこだったのか

1人当たり市町村民所得の上位・下位8市町村

上位は和光市、さいたま市、戸田市、朝霞市、三芳町。下位には東秩父村、毛呂山町、小鹿野町、長瀞町、皆野町が並びました。

ただし、三芳町や川島町のように、高齢化率が比較的高くても所得が高い地域もあります。

高齢化が所得を下げた、と言えるのか

言えません。相関は一緒に動く傾向を示しますが、原因までは教えてくれません。

  • 働く世代の割合
  • 人口の流入と流出
  • 東京への通勤のしやすさ
  • 企業や産業の構成
  • 財産所得の違い

人口減少や産業構造などが、高齢化率と所得の両方に表れている可能性があります。

私たちの暮らしやすさも分かるのか

この数字だけでは分かりません。所得が高い地域でも住宅費が高ければ、生活に余裕があるとは限りません。

自分や親の暮らしに置き換えるなら、毎月の年金や手取り、住居費・医療費・移動費、車を使えなくなった後の生活を確かめる方が現実に近づきます。

今回、データを掛け合わせて見えたこと

高齢化率と地域の所得には、かなり強い逆方向の関係がありました。しかし、それは「高齢者が増えると地域が貧しくなる」という意味ではありません。

今回見えたのは、高齢化と所得の関係というより、地域の年齢構成と経済構造が重なった姿なのかもしれません。

今回の要点

  • 相関は-0.777で、かなり強い逆方向の関係
  • 市町村民所得は個人の給料や年金の平均ではない
  • 高齢化が所得を下げたとは断定できない
  • 次は課税所得、年金、就業率、住宅費を重ねたい

出典

※市町村民経済計算は推計値です。自治体や住民の優劣を示すものではありません。

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