店が多い地域なら、高齢者は買い物に困らないのか|AIと公共データの実験室 #14



「近所に店があるうちは大丈夫」。買い物のことを考えると、ついそう思います。
私も最初は、高齢化した地域ほど商業施設が少ないのではないか、と仮説を立てました。
ところが、高齢化率と人口当たり小売事業所数の相関は0.567。高齢化率の高い地域ほど、人口当たりでは店が多い傾向でした。
一方、高齢化率と1人当たり売場面積の相関は-0.134。店は「いくつあるか」だけでは読めないようです。
今回の商業施設とは何を数えたのか
2021年経済センサスをもとにした埼玉県統計年鑑から、小売業の事業所数と売場面積を使いました。スーパー、衣料品店、食品店、家電店、ドラッグストアなどを含みます。
- 人口1万人当たり小売事業所数
- 人口1万人当たり飲食料品小売事業所数
- 1人当たり小売売場面積
- 65歳以上人口1万人当たり小売事業所数
高齢化した地域ほど、店は少なかったのか
答えは逆でした。人口当たり事業所数が多かったのは、皆野町97.8、長瀞町86.7、秩父市84.1、東秩父村81.2でした。
ただし、人口の少ない地域では、同じ1店舗でも人口当たりの値が大きくなります。
店の数が多ければ、売場も広いのか
そうとは限りませんでした。東秩父村は人口当たりの店の数が多い一方、1人当たり売場面積は0.20平方メートルでした。
小さな店が点在する地域と、大きな売場を持つ施設がある地域では意味が違います。
人口当たりの店が多かった自治体
上位には秩父地域が多く、下位には人口密度の高い都市部も含まれました。「人口当たりの店が少ない=不便」とは言えません。
店が多ければ、買い物の不便は小さかったのか
人口当たり小売事業所数と、65歳以上の食料品アクセス困難割合の相関は-0.228。関係性は低い結果でした。
自宅から歩けるか、車を使えなくなっても行けるか、重い荷物を持って帰れるか。数字の向こうには日常があります。
自分や親の暮らしに置き換えると
- いつもの店まで何分かかるか
- 車を使えなくなった後の手段があるか
- 食品、薬、日用品をそろえられるか
- 移動販売や宅配を利用できるか
- 店が閉店したとき次の選択肢があるか
今回、データを掛け合わせて見えたこと
店の数ではなく、買い物を続けられる条件を見る。
商業施設の「量」から、暮らしの「使いやすさ」へ。データをもう一枚重ねることで、問いが少し具体的になりました。
出典
※相関関係は因果関係を示しません。施設数は市町村内の位置や利用しやすさを示すものでもありません。
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